森町の伝承する舞楽は、チベットやシルクロードの少数民族によって創始された芸能が、 仏教の伝来に伴って伝承され、中央の大寺社の法要に欠くことの出来ない行事となり 森町の神社にも伝播したものです。 天宮神社社伝によると、欽明天皇のときに創建し、文武天皇の慶雲2年(705)に舞楽が 伝わったという。 舞楽関係文書は、延宝五年(1677)鈴木武左衛門(小国神社禰宜)が記した指南書を貞 享二年(1685)に鈴木太良左衛門が書写、現在大場家に保存され、ほぼこれに従って舞 われている。 天宮神社十二段舞楽演目 一番:延舞(えんぶ) 七番:安摩(あま) 天の神、地の神、先祖の霊を 蔵面という紙でつくった面をかぶり 祀る清めの舞。延舞は振る舞の 笏を持ち、チャンチャノベットウ、 当て字で、神に供えるとか、 タッケラコーと唱歌を口ずさみながら舞う。 押し鎮める意味がある。 二番:色香(しきこう) 八番:二の舞 仏の舞といわれ、江戸時代には 咲面の翁と、腫面の媼が安摩の真似を この舞人のみ神幸の列に加えられた しようとするがなかなかできない様子を といい、大切な舞とされていた。 滑稽に演じる。「二の舞を踏む」という 諺は、この舞いが起源であるという。 三番:庭胡蝶(ていこちょう) 九番:陵王 4人の稚児が、蝶がゆっくり 竜頭をかぶり吊り顎のとがった 舞い遊ぶように舞う。 目の鋭い金色の面を付け、30cm余りの 桴を持って勇壮に舞う。 四番:鳥名(ちょうな) 十番:抜頭(ばとう) 4人の稚児が、姿・鳴き声ともに 稚児が天冠をつけ、金蘭綾織りの 美しい迦陵頻という幻の鳥が 装束で、桴を持って物静かに舞う。 舞い遊ぶさまを舞う。 黒紋付きの男が稚児を小脇に抱え楽屋に 連れ帰ると、白衣に変えた他の舞児が 男たちと争う「ザットラボウ」いい、 舞児を抱きかかえて楽屋に連れていく。 五番:太平楽 十一番:納曽利(なそり) 乱世を正すというめでたい舞い。 牙のある竜頭の面をつけ、右手に桴を持ち 俗に太刀舞。「太刀の一人舞い」は 竜の舞う様を表した活発な走り舞い。 独特の舞いです。
六番:新靺鞨(しんまか) 十二番:獅子 笏をもって舞い、この舞いを 貴徳面をつけた獅子伏せが大きな榊をかつぎ 「ヘラ」ともいう。 舞台を清める。獅子が登場し獅子伏せと 格闘となり獅子を退治する。 獅子伏せが鼻をかみ鼻紙を捨てる、見物人が 風邪除けのお守りとなるという鼻紙を 争って拾う。俗に「獅子伏せ」は悪魔調伏と 五穀豊穣を祈る舞いです。 小国神社十二段舞楽演目 番外:花の舞 七番:安摩の舞 一番:連舞 八番:二の舞 二番:色香舞 九番:抜頭舞 三番:蝶の舞 十番:陵王舞 四番:鳥の舞 十一番:納曽利舞 五番:太平楽 十二番:獅子舞 六番:新まっく舞
参考文献:遠江森町の舞楽「天宮神社十二段舞楽」(森町教育委員会) 遠江国一宮「小国神社」パンフレット(小国神社) 静岡県周智郡森町の芸能「舞楽装束」遠江国もりまち(森町教育委員会・森町史編さん室)